当教室は2014年、放射線医学教室が放射線診断学・IVR学教室と放射線腫瘍学教室に分離・独立した際に誕生しました。これまで、三木幸雄教授が放射線診断学・IVR学教室教授と併任され、教室運営にあたってこられましたが、この度、2018年4月1日付けで、私、澁谷景子が放射線腫瘍学専任の初代教授として着任いたしました。

放射線腫瘍学とは、全身諸臓器のほぼすべての悪性腫瘍を対象とし、放射線の特性に関わる「放射線生物学(Radiation Biology)」と「放射線物理学(Radiation Physics)」の理論的根拠に基づき、「放射線治療」を実践するための学問領域です。

放射線治療の歴史は、1895年のRoentgenによるX線発見に始まります。驚くことに、発見の1年後には「がん」に対するX線治療が試みられました。その後、放射線生物学、放射線物理学の二つの分野が独自に発展し、「腫瘍学(Oncology)」と統合することで、がん治療におけるひとつのモダリティーとして確立しました。そして現在、IT技術の発展と相俟って、放射線照射技術は目覚ましく進歩し、放射線治療は「がん治療の3本柱」のひとつとして、がん診療における重要な役割を担っています。

放射線治療は、それ単独のみならず集学的治療の一環としても活用でき、また、根治的治療から対症療法まで幅広く対応することができます。日本人の2人に1人が「がん」に罹患すると言われる現代において、そしてさらに、少子化、高齢化社会を迎える我が国において、「働きながら受けられるがん治療」「高齢者にも優しいがん治療」を開発・実践していくことは、我々の最重要課題のひとつであり、外科医、内科医、画像診断医、病理医、緩和医療を専門とする医師、看護師、薬剤師、あらゆる分野の専門家と力を結集させて取り組んでいかなければなりません。

大阪市立大学の中ではまだ産声を上げたばかりの教室ですが、当学の放射線治療自体は70年来の歴史を持っております。故 小野山靖人教授就任時(1979〜1994年)には、当時最先端であった温熱療法や放射線増感剤の基礎研究がなされ、ここに多くの放射線腫瘍医が誕生しました。現在では、全国でも有数の症例数を有しており、回転型強度変調放射線治療(Volumetric Modulated Arch Therapy: VMAT)の導入においては、本邦で2番目の臨床スタートとなりました。

今後も、一人ひとりの患者さんに真摯に向き合い、安全で質の高い放射線治療を実践してまいりますとともに、がん診療に精通し、基礎と臨床の両面から新規治療法の開発・研究に取り組むことのできる人材を育成してまいりたいと考えております。

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